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くつろぎストレッチ (5/23/2001)

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からだを曲げたりねじったりしたときに、
動きがアンバランスになっていることに気が付いたことはありますか。
そんな経験のあるあなた、ようこそこのページへ。
そんな動きのアンバランスを解消する簡単なストレッチを紹介しましょう。
ここでいうストレッチとは反動をつけない静的ストレッチのようなものです。
静的であり、またストレッチとはいっても痛みをまったく感じない程度にしか関節を動かさない
実にあっけないストレッチです。
あっけないのですが上手くできれば効果はその場で分かります。

ねじる動き
そもそもどんなアンバランスかって?
例えば、椅子に座るか立った姿勢で
上半身をゆっくりと右へねじってみてください。
強くはねじらずに、スッと止まるところまでで結構です。
正面に戻ってから、次に反対の左へゆっくりねじってみてください。
左右とも同じくらいねじれましたか (可動範囲は同じですか)?
どちらかへねじったときに腰やお腹が引っ張られるような感じはしませんか。
もし可動範囲のバランスが取れていて、
引っ張られる感じもなければねじりのバランスは OK です。
勢いをつけてねじったらだめですよ。
いまいち分からなければ右へ左へと 2、3 回繰り返してみてください。
それでも分からなければ後頭部で手を組んで肘を左右に張った状態のまま
同じように右にも左にもゆっくりねじってみてください。
ここまで来ても左右差がなければまったくもって OK です。
ねじれのバランスは問題ありません。

左右の動き
今度はからだを左右に曲げてみましょう。
まず椅子に座るか立った姿勢で
上半身を腰を支点にしてゆっくり右へ曲げます。
自然に止まったところまでで結構です。
体を真っ直ぐに起こしてから、次に反対の左へ曲げてみてください。
立った姿勢でやるなら指先が膝のどの辺まで届くかを比較するとわかりやすいです。
どうですか、可動範囲に左右差はありましたか。
あるいは右に曲げるのは楽だけど左に曲げると変な感じがするとか、
腰に痛みが出るとか、脇腹が引っ張られるとか。
何もなければ左右のバランスも OK です。

前後の動き
せっかくですからもう 1 つやってしまいましょう。
今度は前後です。
やはり椅子に座るか立った姿勢で
上半身をゆっくりと前に曲げます。前屈ですね。
床に手のひらがべったりくっ付いてしまう人もいるでしょう。
次に真っ直ぐに起こしてから、後ろに曲げてみます。
前と同じくらい後ろにも曲がる人はいないと思いますが、
本人の感覚として前に曲げやすいとか曲げにくいとか、
あるいは後ろに曲げやすいとか曲げにくいとかありませんか。
後ろに曲げたときに胃の辺りが引っ張られる感じはしませんでしたか。
人によっては腰痛が出たり消えたりするかもしれません。
特に違和感がなければ前後のバランスも OK です。

上記 3 つともバランスがとれていた方、おめでとうございます。
ダンサーに必要な条件を 1 つクリアしています。
1 つでもアンバランスを感じた方、
以下のくつろぎストレッチを試してみてください。

やり方
どうやるかというと、まず秒針のついた時計を用意します。
壁に掛かっていればそれでも十分です。
では最初に調べたねじりの動作を例にとりましょう。
まずは《観察》です。
立った姿勢で左右にねじってみたら右にねじりやすかったけど、
左へはあまりねじれなかったとします。
すると自分のからだは右へねじりやすいということが分かります。
右ねじれのからだということですね。
ハイ、これで観察終了です。簡単ですね。

次に《調整》です。
観察のときと同じように、少しだけ右へからだをねじって止めます。
どの程度ねじるかというとちょっと右の肩が後ろに引かれる程度です。
観察のときに比べたら 1/10 程度のねじり具合で十分です。
要するにほんのわずか動かしやすい方向(この場合は右)にからだを動かせばよいのです。
その状態のまま 30 秒待ちます……………………………………
…………………待ってみると結構長いです………………………
30 秒経ったらゆっくりからだを正面に戻します。
これで調整終わりです。何てあっけない。

それでは効き目があったかどうか《確認》してみましょう。
観察と同じ事をします。
まず右へゆっくりねじってどこまで楽に行けるか調べます。
からだを正面に戻します。
次に左へゆっくりねじってみるとあら不思議。
さっきよりねじれるようになっていませんか。
あるいはアンバランスや違和感が消えていませんか。

効き目があった方、おめでとうございます。
そうでない方、ごめんなさい。
その場合、よろしければもう一度《調整》をやってみてください。
それでも変化がなかったとすると、
この方法はあまり向いていなかったようです。悪しからず。

もう 1 つのやり方
寝てやる方法もあります。
仰向けに寝て、両脚を揃えたまま両膝を立てます。
両腕を伸ばして肩の高さに開きます。ア・ラ・スゴンドです。
両膝をつけたまま左へ倒し自然に止まるところで止めます。
(ちょっとややこしいですがいま行った動作は上半身を右へねじったことと同じですね)
膝を正面に戻します。
次に両膝をつけたままさっきとは逆に右に倒して行き自然に止まるところで止めます。
(いま行った動作は上半身を左へねじったことと同じですね)
どうですか。
膝を左に倒したときはなんともなかったけど、
右に倒したら左の肩が床から浮いてしまったなんてことはありませんか。
あるいは左脇腹や左手首の辺りが引っ張られる感じがしませんでしたか。
もしそういった違和感があれば、
からだが右にねじりやすくて左にはねじりにくいということがわかりますね。
つまり右にねじりやすいからだだということですね。
これで仰向けに寝たときの《観察》は終了です。

次に《調整》です。
仰向けに寝て両腕を開いて、膝が左に倒れやすかったのですから、
両膝を左に倒して全身の力を抜きます。
その状態で 30 秒待ちます………………………………………
………………………結構長いです………………………………
ハイ、膝を正面に戻します。これで調整終了です。

それではもう一度両膝をつけたままゆっくりと左へ倒します。
次に右へ倒します。
右へ倒したときの違和感が少なくなっていれば成功です。
これが《確認》になります。

成功した方、おめでとうございます。
そうでない方、ごめんなさい。

ポイント
このくつろぎストレッチの《調整》の所がわかると
前後や左右の動きのアンバランスの調整も簡単にできます。
ポイントは「アンバランスがあったら動かしやすい方にほんの少しだけ曲げて、
力を抜いたまま 30 秒待つ」ということです。

では左右動作でアンバランスがあった場合、
例えば、右に曲げやすくて左に曲げにくかったとします。
動かしやすいのは右だから、
右へほんの少しだけからだを曲げて 30 秒待てばよいのです。
前後動作で後ろに曲げにくかったとすると、
動かしやすいのは前だから、
前へほんの少しだけからだを曲げて 30 秒待てばよいのです。
そして《観察》と同じ動作をすればそれが《確認》になります。
これをするときは《観察》《調整》《確認》をセットと考えて行ってください。

このくつろぎストレッチは簡単で短時間に効果が得られるので、
レッスン前に行うといつもより動きのバランスが良いことに気がつくでしょう。
もちろんレッスン後にからだのお手入れとして行っても Good です。

このくつろぎストレッチをした人誰もがその効果を得られるといいのですが、
なかなかそうはいかないようです。
それでも効果のある方にとっては利用価値大だと思いますので、
該当するラッキーな方は是非使ってみてください。

************ もっと知りたい方へ **************

いいわけ
なぜ効き目のある人とない人がいるのでしょう。
そもそも関節の動きが悪くなるのは、関節を作っている骨と靭帯、
さらに関節を動かす腱や筋肉のどこかに不調があるからです。
実はこのくつろぎストレッチで直接変化が現れるのは筋肉だけなのです。
ということは動きのアンバランスの原因が主に筋肉にあれば、
くつろぎストレッチの効果が得られるということになります。

言い換えると筋肉ではなく例えば靭帯の故障が原因だったとすると、
効果が得られないということです。
もちろんからだの各部分はバラバラに活動しているのではなくて、
何らかの影響を及ぼし合っているわけですから
まったく効果がないというわけではありません。
ただ、筋肉が変化してもメインの故障が残っていれば、
見かけ上気がつくほどの変化が現れないということです。

それともう 1 つ。
腱や靭帯が正常で筋肉に故障があっても効果が現れない場合があります。
それはどういうときかというと、
関節の動きを悪くしている筋肉に関連する内臓や器官に不調がある場合です。
そういう場合に直接筋肉にはたらきかけてもなかなか応じてくれません。
おおもとの原因は筋肉以外の部分にあるのですから、
その部分を元気にしてあげないと筋肉に変化は現れにくいのです。
そういう場合は不調がある部分を元気にすると筋肉の状態もよくなり、
関節の動きの制限も少なくなってきます。

くつろぎストレッチと静的ストレッチの違い
くつろぎストレッチをするとなぜ筋肉に変化が現れるのでしょう。
その理由を説明します。
くつろぎストレッチは一見反動をつけないで行う静的ストレッチとほとんど変りません。
でも静的ストレッチとは 2 つの点で異なります。
普通ストレッチといえばかたい筋肉を伸ばそうとするのですから、
可動範囲の少ない側を直接伸ばそうとしますね。
例えば、左にねじりにくかったらそのまま左にねじるようにしてストレッチをします。
ところがくつろぎストレッチでは逆に右へねじって調整します。
この調整する方向がまず違います。
もう 1 つは、静的ストレッチでは痛くならない範囲で出来るだけ引き伸ばしますが、
くつろぎストレッチではわずかにからだを曲げるだけでしたね。
筋肉にしてみればほんのわずか「こんなもんでいいのかいな」
という程度しか伸ばしません。
この筋肉を引き伸ばす量が 2 つめに違います。

くつろぎストレッチのしくみ
なぜ曲げやすい方へ曲げただけで反対の曲げにくかった方へ動かしやすくなるのでしょう。
先ほどは全身の動きに対してくつろぎストレッチを行いましたが、
説明を簡単にするため肘の曲げ伸ばしを例にとります。
肘には曲げるときに収縮する屈筋 (上腕二頭筋) と
伸ばすときに収縮する伸筋 (上腕三頭筋) があります。
肘を曲げようと屈筋を収縮させていくと伸筋は伸ばされ、
逆に肘を伸ばそうと伸筋を収縮させていくと屈筋が引き伸ばされますね。
このように屈筋と伸筋の間には拮抗関係があります。

それでは肘の伸筋が凝っていて固くなっているとします。
肘を曲げていったとき途中で伸筋の凝りによる抵抗を感じることになります。
逆に肘を伸ばしてみると特に抵抗は感じません。
これは肘を曲げにくくて伸ばしやすい状態にあるといえます。

このアンバランスをくつろぎストレッチで整えてみましょう。
くつろぎストレッチでは動かしやすい方、
曲げやすい方へ筋肉を収縮させます。
この場合なら肘を伸ばす方向ですね。
ですから肘を伸ばした状態からさらにちょっとだけ伸ばそうと力を入れて
しばらく待てばよいのです。
このとき筋肉の中では何が起こっているのでしょう。

筋肉のモニター
これを理解する上で必要な筋肉の知識をまとめてみます。
「筋肉」はいろいろな組織から構成されています。
その中で最も重要な筋肉の感覚器官に筋紡錘 (スピード・センサー) と腱器官 (張力センサー) があります。
筋紡錘は筋肉の中にあり、
腱器官は筋肉の両端の腱の中にあります。
この 2 つの感覚器官のことが分かると筋肉の性質がかなり分かりやすくなります。
筋肉を理解する鍵だといっても過言ではないでしょう。
この 2 つの感覚器官の性質はいろいろな形でレッスンに応用出来ることは間違いないので
是非理解出来るよう頑張ってください。
なぜ頑張ってなのかというと、少々厄介なところがあるからです。
他の話題の中でも出てきますのでそれぞれの箇所で少しずつ理解して頂けたら幸いです。

さて、筋紡錘は筋肉がどれくらいの長さになっているかを常にモニターしています。
それと伸びたり縮んだりするスピードもモニターしています。
例えば筋肉が引き伸ばされると長さが変るし、
長さが変るということはあるスピードで伸ばされるのですから
筋紡錘はここぞ出番とばかりに興奮します。
そして筋紡錘が興奮するとどうなるかというと、
その筋肉は収縮しようとします。
一方、腱器官は名前の通り腱の中にあっ
て腱がどれくらいの強さで引っ張られているか、
つまり張力をモニターしています。
例えば静的ストレッチなどで筋肉を引き伸ばすと
筋肉だけでなく腱の張力も増すので腱器官はここぞ出番とばかりに興奮します。
そして腱器官が興奮するとその筋肉は緩もうとします。

何だあっけない。そう、あっけないですね。
ところがこの性質を応用すると実に多く方法で筋肉を緊張させたり緩めたり出来るのです。

筋肉よ、緩め!(仮説)
先ほどの肘をよけいに伸ばして待っている状態に戻りましょう。
このとき筋肉は止まっていますからスピードは 0 です。
したがって長さの変化も 0 です。
ということは先ほどの説明からスピードと長さの変化をモニターしている筋紡錘はいま一つ元気がありません。
あまり興奮していない様子です。
一方、腱器官はやや興奮気味です。
なぜかというと肘をよけいに伸ばそうとしているということは、
伸筋が少しだけ縮んでいるわけです。
そのとき伸筋についている腱にしてみれば少しだけ引っ張られているのですから、
張力をモニターしている腱器官がそれに反応しているのです。

以上をまとめると
筋紡錘はあまり興奮していないで腱器官はやや興奮しているといえます。
筋紡錘が興奮していないということはその筋肉は緊張する気配がなく、
腱器官が興奮しているということはその筋肉は緩もうとしている、
ということになりますね。
両方合わせてみると筋肉は緩もうとしている状態です。

もともと伸筋は凝っていて緊張気味だったのですが、
このくつろぎストレッチで 30 秒待っている間は
上記の説明からその伸筋は「そうかいまは緩むときか」と、
つまり緩もうとしていたことになります。
そしていつのまにかもともとの「凝り」は
腱器官になだめられる形で緩んで消えてしまったのです。

「くつろぎストレッチ」
そこで再び肘を曲げてみるとあら不思議。
先ほど感じられた伸筋の凝りによる抵抗や引っかかりもなく
すんなりと曲げることが出来ました。
曲げにくさが改善され、動きのバランスがとれたのです。
これぞ「くつろぎストレッチ」。
めでたし、めでたし。

ダンサーのからだ

  • 2016 08.21
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